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オフショア活用ノウハウ
2019.01.28
ベトナムでラボ型オフショア開発を成功させるために知っておきたい3つのこと
■ベトナムでラボ型オフショア開発をするときにこの3つに気をつけよう
日本人と似ており、宗教や食事などの文化面で共通点が多いと言われるベトナムですが、実際には気候風土はもちろん、国民性はかなり日本と異なります。
とはいえ、親近感が湧きやすい国であるのは事実です。
1.ベトナムの風土や風習、国民性や政治状況は日本とは大きく違う
ベトナムは亜熱帯から熱帯に位置し、水が豊かな土地です。そのぶん夏には激しい雨を伴う嵐も多く、近年は多数の犠牲者を出す豪雨災害が多発しています。
2000年代初頭から大きな経済成長を遂げ、近年緩やかになってきて入るものの未だ約6%に近い経済成長率を保っています。政府が政策の一環としてIT事業を強く後押ししており、IT分野においては大きな成長を続けている国でもあります。
国民の8割以上が敬虔な仏教徒であり、公用語はベトナム語ですが若年層には流暢な英語を話す人も多くいます。最近では日本語を学習する人も増えています。世界でも屈指の親日国家として知られ、複数の大規模アンケートでも90%近くの人が「日本が好き」と答えるほど、日本に対して親しみを持ってくれている国なのです。
とはいえ、民主主義の日本とは大きく異なる面もあります。ベトナムは社会主義国であり、社会主義に基づいた政策が取られています。一党独裁体制を敷いており、公共の場で政府を批判することは許されません。日本人の感覚としては違和感があるかもしれませんが、これは旅行者を含めて適用される「国家転覆罪」という犯罪なのです。このように、法律の面では日本の感覚と大きく乖離した部分が多数あるため、オフショアといえど現地の法制度にある程度の知識が必要です。
また、ベトナム人の4つの特徴といわれる国民性があります。「向上心・勤勉」「おおらか」「器用・真面目」「誇り高い」。この4つは、それぞれメリットとデメリットの両面を持っています。
まず向上心の強さは、非常に高いものがあります。勤勉で強い上昇志向を持つ人が多く、最新の情報へのアンテナ感度を求められるIT開発の現場では優秀なSEが多数育っています。しかし反面、給与や待遇が満足しない場合、すぐにキャリアアップを求めて転職してしまいます。給与だけでなく、自分のスキルアップに必要な環境ではないと判断すると躊躇なく違う職場を求めて居なくなってしまうため、優秀な人材を多く現場に留めるには、かなりの経営努力を要求されます。
次におおらかさ。優しくのどかな人柄の多い国ですが、同時に納期にルーズな面もあります。これはスケジュールの見積もりが下手なせいなのですが、国民性として自分の感覚を判断の中心にしがちな傾向があるためです。お互いの価値観を大切にするおおらかさが裏目に出てしまうわけです。
器用さと真面目さについては、日本人の持つ几帳面さに近く、非常に丁寧な仕事をします。しかし、妥協もないため納期に影響しても完全を求めてしまう部分があります。
そしてなにより、こういった特徴の根底には非常にプライドが高い国民性があります。プライドが高いため、真面目で妥協のない強い向上心や、他者や価値観の相違に対する驚くほどの寛容さを持つ反面、人前で恥をかくことに強いストレスを感じる人が多いのです。そのため、なんらかの指摘や注意をするときには、非常に気を使って配慮する必要があります。
2.コストパフォーマンスだけでは失敗する
ベトナムは日本と比較するとまだ人件費の面で大きくメリットがあります。
優秀な人材を安く使えるという点に置いてコストパフォーマンスの良い場所と言えるのですが、そこばかりに注目していると間違いなく失敗してしまいます。
というのも、まず言語の違いによる壁があります。基本的にベトナム語が公用語であり、第二外国語は英語です。
きちんと折衝や技術検証を含めてブリッジになれる存在がいるのかどうか、この点は成功にとても重要なポイントです。
そしてもう一つ、ベトナムは今、大きく成長している最中です。人件費の安さだけを見ているとあっという間に経済規模が拡大し、価格面でのメリットを失ってしまいます。
国民性でも説明したとおり、向上心が非常に強い人が多く優秀なエンジニアほどすぐに離れてしまうため、コストパフォーマンスばかりを追いかけて安く買い叩く感覚でいると、安かろう悪かろうの典型になってしまうのです。
ラボ型では特に人材を長期間確保することになるため、安さばかりを注視していると、優れた人材が現場に残ってくれません。
3.ハイブリッド企業と現地企業の違いを知っておこう
ベトナムの受託開発企業には2種類あります。
一つは現地ベトナム資本100%の企業です。概ねすべての会社機能をベトナムに置いています。大小さまざまな形態があり、大手企業の二次請け三次請けになることもしばしばあります。
日本企業だけをターゲットとしていない企業も多く、場合によっては日本語が通じないこともあります。
もう一つは、日本とベトナムで資本を出し合って起業したハイブリッド企業です。日本とベトナムの両方に拠点ないし窓口があることが多く、日本企業がオフショアを発注する時に一番の問題になる言葉の壁をクリアしやすいのが特徴です。